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<地獄から頂点へ> 高橋大輔 「語り継がれる演技をしたい」 ~バンクーバー展望~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2010/02/10 10:30
五輪の重圧に負けた自分自身へのリベンジのために。
プレッシャーに克てなかった自分が情けなかった。やがて、大会に臨む姿勢に問題があったと考えるにいたった。
「(トリノ)オリンピックまで真剣にやっていなかったというわけじゃないんです。でもやっぱり甘かった。行く前は、オリンピックはお祭り騒ぎみたいなものだと思っていました。でもそうじゃなかったんですね。選手誰もが、オリンピックへの思いがほかの大会と違うし、周囲の人々の見る目も違う、特別真剣な場でした。お祭り騒ぎだと思って戦える場所じゃなかったんですね」
トリノが終わった瞬間から、高橋は言い続けてきた。
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「次のオリンピックは金メダルを獲ります」
挽回するには、もうそれしかないと思っていた。
「やっぱり悔しかったんです。あんな状態だった自分が。自分に負けた自分が、もう悔しかった。だから次はもう、金メダルしかない、と。それに、荒川静香さんの金メダルがうらやましかったんですね。僕も選手村で首にかけさせてもらいましたけれど、やっぱりいいもんだな、と思いましたね」
金メダルをとるために……4回転への飽くなき挑戦。
オリンピックの金メダルへの強い意識は、試行錯誤し、感覚を取り戻すために戦ってきた今シーズンにも如実に現れていた。それは4回転ジャンプに挑み続けたことだ。成績を残すことだけを考えれば、4回転ジャンプを回避してリスクを小さくするほうがよかった大会もあった。ましてや、グランプリシリーズも含め、五輪代表選考がかかっていたのだから。
それでも高橋は、果敢に4回転ジャンプを跳び続けた。その攻撃的姿勢を貫いたところに、高橋の意志が表れていた。
「やっぱり4回転がなければ、オリンピックでの成績は望めません。いくらリスクがあっても、やめるわけにはいかなかった」