3年間で築き上げた、団結力に強みがある。

──順調すぎて怖くなることは？

　「あるでしょ。人は平等だと思うし（笑）。下向くときは必ずあるし、まだ何かを手に入れたわけじゃない。取り上げてもらえるのは嬉しいけど、自分としてはそっとしておいてほしいというのが正直なところでね（笑）」

──そうおっしゃらず。首位争いするガンバ大阪や浦和レッズにはない川崎の強みは、どこだとお考えですか？

　「やっぱり積み重ねだよね、３年間の。それがいまのチームの強さだと思う。同じベクトルでみんなが闘うっていう団結力は負けないし、どんな試合でもそれは出せてると思う」

──関塚さんのベクトルは、いまどこを向いているのでしょうか？

　「いま？―　チャンピオンになりたい。まずは。Ｊ２のときはＪ２のチャンピオンになりたいと思ったし、Ｊ１に昇格したらＪ１でとにかくチャンピオンになりたい。あとは、日本人を一人前にしたいって気持ちはあるかな」

──以前は、ジュニーニョを筆頭に外国人の得点力が注目されていましたが、最近は我那覇和樹、中村憲剛、谷口博之など日本人選手の成長ぶりが顕著です。

　「確かにジュニーニョ頼りって部分はあったと思います。ただ、彼のマークは当然厳しくなるわけだから、そうなると違ったバリエーション、違った力が必要になってくる。そうした状況で一緒にやってきた結果、日本人選手が成長してきたんだと思います」

──アウグストの代わりにマルコン、マルクスの代わりにマギヌン。外国人選手の選択や起用に一貫性があるのも、チーム力の向上につながっているのかと思います。

　「日本人をレベルアップさせるためには、外国人のタイプ、役割を変えずにやったほうが良い。外国人の役割が変われば日本人の役割も変わる。そうなると積み上げてきたものがイチからになるじゃないですか。だから、そこは変えずに。その結果、日本人が自分の役割の下でレベルアップし、自然とチーム力も上がってきたんじゃないでしょうか」

──我那覇選手が代表に選出され、アウェーのイエメン戦ではゴールも決めました。

　「正直嬉しかったね（笑）。日本代表に名前が挙がってくることが嬉しいし、みんなが成長してることも、お客さんが増えてることも嬉しい。すべてが右肩上がりできてる。監督を引き受けてからステップバイステップじゃないけど、一段ずつ上がってきたという充実感があるからね。もちろん、立ち止まったらすぐ追い抜かれちゃうので、常に前を向かなきゃいけないけど」