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関塚隆 叫び続けて早3年。
text by
粕川哲男Tetsuo Kasukawa
posted2006/09/28 22:26
──理想とするサッカーは?
「いまのサッカーはフィジカルがハードで、コンビネーションとかを出しづらくなってきてる。だけどやっぱり攻撃的な、いまうちがやってるようなサッカーをやって勝てたら一番いいなとは思いますよ。あとは、オシムが日本化、日本化って言ってますけど、日本人にはどういうサッカーが良いのかは、誰もが求めてることだと思う」
──それでは、関塚さんが考える日本人らしいサッカーとは?
「日本人選手は平均身長が175~180cmくらいで、敏捷性と組織力に特長があるから、まずはそれを活かすこと。それと、サッカーっていうスポーツは、コンビネーションでも技術的な持ち味でもいいんですけど、クリエイティブな部分、面白さがないとダメなんじゃないかな。だから俺、いまのフロンターレのサッカーはすごくいいと思う」
──試合中、座らないのはポリシーですか?
「いや、下から見るより目線がいいし、自分のなかでは選手とともに闘ってるという意識なんで……。試合中は選手に任せるってなればスーツになるかもしれないし、座ってるかもしれないけど(笑)」
──何を叫んでいるのですか?
「いいじゃないですか、それは(笑)。でも、俺ってそんなに叫んでる?」
──ええ、かなり(笑)。
川崎を率いる、叫ぶ指揮官。だが、叫びの内容は変化している。以前は「そうじゃない」と選手たちを正すことが多かったが、最近は「最後まで」と勇気づけることが多いという。「監督の意図を理解して、選手全員がついていけるようになった」と語るのはキャプテンの伊藤宏樹だ。叫ぶ男の叫びの質が変わり、ついには叫ばなくなったとき、川崎は目指す場所に辿り着いているのかもしれない。