プレミアリーグの時間BACK NUMBER
220億円の巨額補強でCL出場権確保。
稀代のヒール、マンCの次なる一手は!?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/05/11 10:30
守備の構築には定評があるものの、攻撃の指導には疑問の声もあるマンチーニ。インテル時代はリーグ三連覇の一方で、CLではベスト8が最高成績。来季もこの壁を破れないようだと、更迭は免れないだろう
テベスに依存したチームから生まれかわったマンC。
正GKに抜擢された24歳のジョー・ハートは、今やイングランド代表でもスタメンに定着。
ヴァンサン・コンパニーはプレミア随一のCBに化けた。
ボランチのナイジェル・デヨングは、MVP級のパフォーマンスを連発。
主にトップ下で起用されるトゥーレ・ヤヤは、意外な得点感覚と共に従来のボール奪取能力を前線で発揮している。
4月16日のFAカップ準決勝でマンチェスターUから奪った勝利(1-0)も、屈強な背骨の成せる業だった。同時に、テベスを欠いていた点でも意義ある勝利だった。大一番で地元の宿敵を下したマンCの姿は、テベスの移籍志願で崩壊の危機が叫ばれたチームとは思えないほど逞しいものだった。
移籍組のシルバとジェコの攻撃がマンCの未来像を映し出す。
その背景には、ダビド・シルバの存在がある。
移籍1年目のスペイン代表MFは、序盤戦こそ苦しんだが、新環境に慣れて2列目の左サイドに定着すると、チャンスメイクで実力を発揮。軽快なドリブルやワンツーで突破口を切り開いては、絶妙のラストパスを送る姿が頻繁に見られるようになった。その貢献度の高さは、マンCファンの間でも「最も重要な選手はテベスではなくシルバだ」と言われるようになっているほどだ。
FAカップ決勝進出を決めた翌週、シルバが、エディン・ジェコのプレミア初ゴールをアシストしたブラックバーンとのリーグ戦(1-0)では、チームの未来像が垣間見られたと言える。
ジェコは、1月に約36億円もの移籍金で加入した昨季のブンデスリーガ得点王。新CFの投入を機に、マリオ・バロテッリとの2トップの背後にシルバが入り、中盤がダイアモンド型の4-4-2にシステム変更されると、ペナルティエリア付近に5~6名が顔を出すという、マンCには異例の厚みのある攻撃が見られるようになったのだ。