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220億円の巨額補強でCL出場権確保。
稀代のヒール、マンCの次なる一手は!? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/05/11 10:30

220億円の巨額補強でCL出場権確保。稀代のヒール、マンCの次なる一手は!?<Number Web> photograph by AFLO

守備の構築には定評があるものの、攻撃の指導には疑問の声もあるマンチーニ。インテル時代はリーグ三連覇の一方で、CLではベスト8が最高成績。来季もこの壁を破れないようだと、更迭は免れないだろう

 持てる者であるが故の風当たり。プレミアリーグでも断トツの資金力を誇るマンチェスターCは、嫉妬も絡み否定的な見方をされがちだ。

 4-2-3-1システムでカウンターを主体にポイントを稼ぐスタイルは、「効果的」ではなく「消極的」と非難される。

 年初のアーセナル戦のように、正攻法の相手とスコアレスドローでも演じようものなら完全に悪者扱い。遊び心のあるタブロイド紙に、映画『スター・ウォーズ』シリーズの悪玉ダース・ベイダーが、顔をロベルト・マンチーニ監督に挿げ替えられた合成写真が登場したのは1度だけではない。

 しかし、公正な目で眺めれば、今季のマンCは高い評価を得て然るべきだ。開幕直後の数週間を除けば、1度もトップ4から漏れることなく、シーズン最終月を迎えているのだから。しかもチームは、エース兼キャプテンであるカルロス・テベスの移籍騒動、前キャプテンでCBのコロ・トゥーレのドーピング疑惑といった問題を抱えながら、目標のCL出場権獲得(4位内)に向って進み続けたのだ。

 タブロイド紙の代表格「サン」が、「フォースはマンCと共に」との見出しを打ったのは3月のこと。スター・ウォーズの有名なセリフ「フォースと共に在れ」をもじって、本来の“force(力)”と“fourth(4位)”をかけたものだ。併せて“ダース・マンチーニ”の写真が掲載されていたことは言うまでもない。

崩壊寸前のチームを迅速に再建した“ダース・マンチーニ”の功績。

 そのマンチーニも、暗黒卿などに例えられるのではなく、今季の最優秀監督の候補に挙げられるべきだろう。

 守備的と批判されるアプローチは、マンCの監督として挑む初のフルシーズンであることを考えれば妥当な選択と解釈できる。富豪オーナーの至上命令とも言われるトップ4入りを実現するためには、つまり、コンスタントにポイントを稼ぐためには、派手な攻撃力よりも堅実な守備力の体得が先決だ。マンチーニは、その守備の基盤を確立することに成功している。

【次ページ】 テベスに依存したチームから生まれかわったマンC。

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