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オフェンス型チームが
夏の甲子園を席巻する。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2009/08/24 06:00
野球はプロでも高校野球でも投手力がモノをいう世界だと思われがちだ。たとえば今年の春に行なわれたセンバツ大会の決勝は、左右の超高校級投手、菊池雄星(花巻東)と今村猛(清峰)の投げ合いになり、今村の好投によって新進の清峰が春、夏通じて初の全国制覇を長崎にもたらした。
だが、夏の甲子園では様子が異なる。ディフェンス型より、強力打線を前面に押し出したオフェンス型のチームが覇権を握ることがままあるのだ。
たとえば'04年夏の決勝戦は13対10で駒大苫小牧が済美を破り、'08年の決勝戦は大阪桐蔭が常葉菊川を17対0と大差で退けている。斎藤佑樹(早稲田実→早大)と田中将大(駒大苫小牧→楽天)による凄絶な投げ合いも過去にはあるが('06年)、夏は打線も含めた総合力がモノをいうことが多い。だから、投手力に絶対的な自信を持ったチームが最後まで勝ち抜けないことが珍しくない。