サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER

暑いし、重いし、痛いし、怖いし……。
サハラで地獄のマラソンがスタート!! 

text by

松山貴史

松山貴史Takashi Matsuyama

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photograph byTakashi Matsuyama

posted2011/04/19 06:00

暑いし、重いし、痛いし、怖いし……。サハラで地獄のマラソンがスタート!!<Number Web> photograph by Takashi Matsuyama

「日本代表」気分でメディカルチェック待ち

飛行機、バス、ジープの荷台で延々と連れていかれ……。

4月1日(金)

 いきなりの寝坊。前日、荷物の最終パッキングに時間がかかりほとんど眠れなかった。何だかんだで荷物は15kgを超えている予感がする。こんな重量で走れるのだろうか。日本の選手の方々に少し迷惑をかけたが、無事仏オルリー空港に着く。朝の5時なのに凄い人だかりだ。どうやら全員サハラマラソンの参加者らしい。偶然だが、「マーズ・フランス」チームの方達がいた。スニッカーズやM&Mをマーズ・ジャパン(米国食料品メーカーの日本支社)からいただいている事を伝えると、「チョコ持ってきたの!?俺達、社員ですら置いてきたぜ!」といわれる。やはり灼熱の砂漠でチョコレートはまずかったかなぁ……。そして外国人選手のザックが異様に小さく見えるのは気のせいだろうか?

 様々な不安を抱えながらチャーター機で一路モロッコへ。飛行機の中は異様な雰囲気。客室乗務員もなぜか体育会系でラガーシャツだ。ワルザザード空港に到着後、一同記念撮影大会。笑っていられるのはこの時までだった。

 バスに乗ってどこかに向かう。目的地はもちろん、所要時間も教えてもらえない。“電波少年”の気分だ。途中トイレ休憩でバスが停まったが、辺り一面何も無い。男女関係無く、その辺でトイレを始める。いよいよサバイバル生活の始まりだ。乗客のほぼ全員が浮かれ気味で無意味に車外に出る。もちろん、自分も浮かれ気味で外に出るが、あまりの暑さに気分が悪くなり、すぐにバスに戻る。バスに戻ると経験者やベテランの人たちはバスに乗ったままだった。流石だ。もうレースは始まっていたのだった……。戦慄を覚える。

 5~6時間はバスに乗っていただろうか。バスから降りると目の前にあったのは軍用ジープ。荷物を乗せるのかと思いきや、「早く乗れ!」とせかされる。囚人になった気分だ。どうやら道が無くなったため、バスが通れなくなり、ジープに乗り換えなければならなかったようだ。一体私たちはどこへ向かうのだろうか。悪路とジープの揺れが合わさって吐きそうになっていると、急にジープが停まる。どうやらビバークに着いたようだ。

 ビバークでは基本的に国別にテントが割り当てられる。私のテントは7人で全員日本人。しかし、想像以上にテントが粗末だ。申し訳程度に絨毯のようなものを敷き、それに屋根のようなもの(決して屋根ではない)を付けただけのサバイバル仕様。楽しくなってきた。

【次ページ】 いよいよスタート直前……様々なトラブルに襲われる。

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