スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ドロー決着の“ラリー・クラシコ”初戦。
自信を得たモウリーニョの秘策とは?
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2011/04/18 12:15
試合中、ブスケッツの手をとって何かを話しかけるモウリーニョ。試合後、アルビオルのファウルによるレッドカード&退場という審判の判定に対して大いに不満を述べることになる
試合後、落着きはらうペップと苛立つモウリーニョ。
マドリーにとっての収穫は、過去5戦は全く歯が立たなかったライバルに対して退場者を出しながら引き分けに持ち込んだこと。この試合で得た自信が、残る3つのクラシコにもたらす影響は少なくないはずだ。一方、相手にポゼッションを譲って守備に奔走し続け、45分間にわたり10人でハードワークを行った疲労の影響もまた、コパ決勝に向けて見逃せない要素ではある。
試合後の会見でグアルディオラは、終始穏やかな表情を保ちながら、至ってポジティブに試合を振り返った。
「ベルナベウでの引き分けはいつだって素晴らしい結果だ。とりわけプレーの内容、ゲームを支配したことには満足している」
「悪い部分はほとんどなかった。1-0となった後はゲームをコントロールしたかったが、マドリーには困難な状況を乗り越える力がある。我々はもう少しカシージャスのゴールを目指すべきだった」
対照的に、モウリーニョはいつもの険しい表情で延々とレフェリー批判を繰り広げた。
「11対11でプレーしている間は非常に均衡した試合だった。だがその後、これまで幾度となく起こってきたように我々は10人となった。10人でバルサと戦うのはほぼミッション・インポッシブルだ」
「アウベスがなぜ2枚目の警告を受けなかったのか全く理解できない。あれはゴールから50mの位置で犯したファウルであっても警告に値するものであり、ペナルティーエリア内なら尚更だ。第四審判にその理由を聞いたら、“彼はサイドバックだから”と言われた。これ以上言えることはあまりない」
「いつか10人のバルサと戦ってみたいが、それはスペインでもヨーロッパでもミッション・インポッシブルだ。バルサ戦に際して10人でのプレーを準備するのにはうんざりしている」
グアルディオラが結果を、モウリーニョが自信を手にしたラリー・クラシコの第1戦。すぐさま訪れる第2戦後に、両者はどんな表情を見せてくれるだろうか。