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モウリーニョに見る「理論派」監督の宿命。
text by
永井洋一Yoichi Nagai
photograph byMichi Ishijima
posted2004/10/07 00:00
プレミアシップ・チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督への風当たりが強くなっている。第6節終了時で4勝2分けの2位と結果は上々だが、試合内容がイングランドのファンにとっては堅実すぎてつまらないというのだ。
モウリーニョは選手としてはまったくの無名。体育教師からボビー・ロブソンの通訳を経てアシスタントコーチとなり、指導者としての階段を駆け上がってきた。トップ選手としての経験がないモウリーニョにとって、プロ集団をまとめるには高度な戦術理論が必要だ。「違う国、違う文化、違うメンタリティーを持つ選手たちをまとめるには、ビッグ・タクティカル・カルチャーが必要」と自ら発言しているように、緻密な戦術理論がコレクティブなチームづくりの柱になっている。そして、その戦術論の核となるのが守備だ。11人全員が高い守備意識を維持することが、モウリーニョ理論の基本である。