思いこんだら試練の道を……巨人ファンは修羅の道。

　だが彼らはそれでも生き残った。問題が起こる度にプロ野球ファンのほぼ全員を敵に回し、徹底的に叩かれ、球場ではケンカを売られ、系列以外のメディアでも散々罵詈雑言を浴びせ続けられる巨人軍を信じ、誇りを持ち続けられるその信念には、尊敬の念すら湧いてくる。

　思いこんだら試練の道を……そんな一節が思い浮かんだ。真の巨人ファンへの道は、かくも厳しき修羅の道。その苦労が如何ばかりのものかはわからないが、せめて、“できの悪い親”と言われてしまっている球団上層部の人は、星一徹みたいに頭が固くて、すぐにちゃぶ台をひっくり返すようなマネは慎み、心穏やかにチームや選手を応援できる環境をつくってあげなければ、ファンもいい加減ヘトヘトに疲れ果ててしまうだろう。

　巨人ファンをやっていくのも大変なんですね……。思わずそんな言葉が漏れてしまった。

「いやいや、これでいて楽しいからやっているんだけどね。あと、どんなになろうとも横浜ファンに同情されるほど落ちぶれちゃいないよ」

　ああ。

　やっぱり、巨人ファンだ。