セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
大穴ナポリがミランとインテルを猛追。
サッカー界の『シンデレラ』になる?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2011/03/26 08:02
現在、得点ランキングでディナターレに次ぐ2位につけるカバーニ。カリアリ戦で2ゴールを決め、クラブ歴代年間ゴール記録(22点)に並んだ
ロッカールームでは「スクデット」が厄除けの禁句に。
クライマックスを前に、広報を一手に引き受けるのがデ・ラウレンティス会長だ。
本職が配給会社経営の映画王なのだから、派手なコメントで耳目を集めるのはお手のもの。まずは「イタリアには、17人のかわいそうなシンデレラと、高慢ちきで意地悪な3人の姉がいる」と北部ビッグ3を揶揄。地方クラブが持たないジャッジへの精神的影響の公正化を訴え、監督マッツァーリを後方支援した。
主役たる選手たちには「ラストスパートに期待している」と、しっかり尻を叩く一方、すでに今夏市場をにらんで「ハムシクは5000万ユーロでも売らん。カバーニ? レアル・マドリーが1億ユーロ積んだら考えてやってもいい」と強気発言を連発。観客たるサポーターの関心を煽る。
いつからか、ナポリのロッカールームでは「スクデット」という言葉が、厄除けのために禁句となった。誰も口にしないからこそ強い意志がこめられている。
歴史ある古豪とはいえ、わずか5年前までナポリは3部にいた。シナリオの結末はまだ誰にもわからないが、5月の最終節まで、ナポリのクライマックスシーンがつづくのは確かだ。