「自分の中ではかなり下の順位(8位)だったので、記録自体は狙えないかなと思っていました。でも元々単独走は得意だったので、後ろの順位でも力を発揮できたかなと。篠原さんや太田さんとはタイムも近かったので、競ってみたかったなという気持ちもあります」
出雲駅伝の6区では、駒澤大学の篠原倖太朗選手、青山学院大学の太田蒼生選手を上回る区間2位。工藤選手自身もレース後、Xで「やっと本格化し始めたでしょうか!?」とコメントしました。前回の箱根駅伝で区間賞を獲得した両校のエースに勝ち、「自分が強くなったという確信を得た大会だった」と振り返ります。
前回の箱根は5区区間6位。長年早稲田が苦しんでいた“山上り問題”を打破し、花田勝彦監督が名づけた「山の名探偵」のキャッチフレーズでブレイクしました。今年は3月の日本学生ハーフで表彰台に立つなど、すっかりチームの主力へと成長しています。
そんな工藤選手について、花田監督はNumberのインタビューで入学当時の印象をこう語っていました。
「1年目は身体がひ弱というか、周りの選手に比べて筋力や体幹も弱くて、正直『なんでこれでこんなに強いんだろう?』という感じでした」
ただこの一年、在学するスポーツ科学部で身体づくりの正しい知識を得て、前回の箱根前からレジスタンストレーニングを継続したことで、身体と走りのよい変化が生まれているそうです。
「去年はレースの中盤から後半にかけて、水中を泳いでいるかのような、力が伝わっていない感覚がありました。でも、それが夏以降改善されて。身体のバランスや筋力の強化によって、ストライド・ピッチともに前半の動きを維持できるようになったと感じています」
高校時代の“後輩エース”鈴木琉胤の走り
前回の箱根の段階では「今の自分の成長は予想できなかった」と語る工藤選手。地道にトレーニングを積み重ねてきたことで、自身が理想とする選手像の「再現性」が高まった、と手応えを語ります。
迎える二度目の箱根駅伝、花田監督は「順当に行けば5区は工藤」と起用する方針を語っています。工藤選手自身、平地でも区間上位に入れる実力を備えながら、やはり山上りへのこだわりは強いようです。
「(5区)走りたいですね。チームの中で一番走れるのは自分だと思うので意識していきたいと思います。平地の走力が昨年とは段違いに強くなっているという自信はあるので、タイムを1分以上縮めることは可能かなと思っています」
また、工藤選手は2028年のロサンゼルス五輪のマラソン日本代表を目指しており、在学中に初マラソンに挑戦するつもりです。彼に、マラソンで世界を目指すことを決断させた高校時代の“後輩エース”鈴木琉胤の走りとは……?
動画ではほかにも以下のような話題について語っています。
- 昨年までと今年で変わった身体と走り
- 箱根独特の盛り上がりをどう受け止めている?
- 「レース中はいい意味で…脳筋」探偵に通じる論理力は?
- 試合中の“脳のロック”の外し方
- 雨でもメガネ、、、レンズの曇りは気にならない…?
- 前回の箱根で自分も認知された!“推し”里崎智也さんへの愛
自らを俯瞰する「冷静さ」を持ちながら、たびたびお茶目な一面をのぞかせる工藤選手。駅伝主将の伊藤大志選手が別のインタビューで「いい意味でクレイジー」と評していたのもうなずけます。工藤選手の素顔に迫ったインタビュー、ぜひご覧ください。(12月12日取材)
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