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「ホームラン100本、四刀流だってできる」栗山英樹が語る大谷翔平の“おもちゃ”と“想定外”…恩師が懸念する「周りの空気感」とは?《インタビュー》

2024/12/26
現在は日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサーを務める栗山氏
前人未到の境地に達してもなお前進をやめない不世出のプレーヤー。2025年は「二刀流」の復活も期待されるが、その礎を作った恩師は今季の偉業をどのように捉え、さらなる未来に何を期待するのか。(原題:[スペシャルメッセージ]栗山英樹「ホームラン100本、四刀流だってできる」)

 2024年の翔平は、二刀流に取り組む本当の意味を示したと思っています。私はファイターズの監督の頃から、翔平には「二刀流は優勝するためにあるんだ」と伝え続けてきました。その本質は翔平が大好きな野球をやり続けるためのもの。'23年9月に手術した右肘のリハビリがあるので、投手だけならプレーできませんでしたが、二刀流なら野手として野球ができる。そういった環境を自分で作り上げたのは、とても素敵なことです。

「50-50」を達成したことへの驚きはまったくなくて、もうちょっと打つかなと思っていたぐらいです。以前に右肘を手術した後の'19年シーズンの経験もあるので、野手一本でも思い切りやれる感触があったと思います。投手との二刀流の時は無理できませんが、チームが勝つために、自分が何をできるかを最優先に考える翔平は今回、盗塁という新たな領域に挑みました。

 私は課題を必死に克服しようとする一生懸命な姿こそ、人が一番輝く瞬間だと思っています。'24年3月、アメリカのアリゾナで会った翔平がまさにそうでした。スプリングトレーニング中で打撃などのテーマもあるなか、盗塁という新しい目標が明確に見えていて「絶対クリアするぜ」といった感じで、すごくいい表情をしていました。

 子どもが初めておもちゃをもらった時のような、ワクワクする感覚は翔平にとってすごく重要なんです。楽しそうな時はいつも抜群の成績を残している実感があるのですが、今回はまさにそんな予感がしていました。

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photograph by Hirofumi Kamaya

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