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「打球を転がすことが最善なら喜んでやる」ロバーツ監督が絶賛するドジャース1年目の大谷翔平…WSの強行出場は「フレディを見ていたから」

2024/12/27
2016年からドジャースの指揮をとるロバーツ監督。沖縄生まれ
全米の注目を集め、名門球団の重圧を背負った新天地でのチャレンジ。逆風から幕を開けたシーズンで寄り添ったのはその懐の深さでナインの信頼を勝ち得ていた指揮官だった。長く険しい道のりのなかで、名将が見た大谷の実像とは――。(原題:[名将大いに語る]デーブ・ロバーツ「翔平は驚くほどオープンな男だ」)

 スーパースターをチームに擁するということは監督にとって、ときに難しさを伴うものだ。困難はあらゆる方面に及び、実に複雑な対応が必要になることもある。

 3度目のMVPに満票で輝き国際的スーパースターとなった大谷翔平のドジャースでの1年目は、どれだけ大変だったのか。ワールドシリーズ終了後の11月初旬、デーブ・ロバーツ監督にそう問うと、あっけらかんとした答えが返ってきた。

「実にラクだったよ」

 スーパースターをチームに迎え入れたとき、何の問題も難しさも経験することがないというのは、かなり稀なことだ。その選手が監督と合わないということはよくある。スター選手はどこに行っても自分のやりたいようにやることが多く、チームの方がスター選手に合わせなければならなくなる。またすでにチームに所属する別のスター選手と衝突し、チーム内の空気がよどむ。

 しかし、ロバーツはキャンプ初日からワールドシリーズ制覇を果たした最後の瞬間まで大谷と息を合わせ、それが今季のチーム成功の1つの鍵になっていた。

「世の中の人たちはみな、本当の翔平の姿を今季目の当たりにできたと思う。彼のプレーを見ることがどれだけ楽しいか、みんなが改めて気づいた。本当に、想像をはるかに越えるものを見せてくれた」

2023年12月の入団発表 Getty Images
2023年12月の入団発表 Getty Images

 ロバーツはそう振り返った。

「翔平は選手としてだけでなく、仲間としても偉大」

 もちろん、思わぬ事態に直面して悩むこともあった。ワールドシリーズ第2戦で大谷が左肩を脱臼し、シリーズの残りの試合に出場できるかどうかという危機的状況に陥ったときもそうだった。ちょうど、もう1人の打線の要であるフレディ・フリーマンも足首のねんざを抱えながらポストシーズンを戦っている状況で、チームにはたちまち更なる暗雲が垂れ込めた。

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photograph by Getty Images

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