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「今年はピタッときた投てきが一本もない」北口榛花が本当に嬉しいのは“金メダル”ではなく…「結局、陸上って記録なんだなって」【独占インタビュー】
今夏のパリ五輪のハイライトといえば、陸上女子やり投げの北口榛花の金メダルだ。日本女子初のフィールド種目での栄冠はパリ五輪を象徴する1シーンといってもいい。
夢の世界一が決まると、笑顔がトレードマークの彼女がめずらしく大粒の涙を流した。競技後、金メダリストにだけ許される“勝利の鐘”を9度高々と鳴らし、無邪気に笑って、大いにはしゃぐ。女王は興奮を抑えきれず、感情を爆発させていた。
さらに9月には陸上の世界最高峰の大会、ダイヤモンドリーグ・ファイナルで今季自己ベストの66m13で優勝し、連覇を達成。2024年はまさに充実の一年だった。
ただ、結果だけを見れば順風満帆のようにも思えるが、実は人知れぬ葛藤や苦悩もあった。
今季はパワーとスピードアップに注力した冬季トレーニングを経て、五輪イヤーに突入した。春先は練習パートナーとのスプリント練習でも「いい勝負ができるようになっている」と手応えも感じていた。
4月のダイヤモンドリーグ蘇州大会を62m97で制したのを皮切りに水戸招待陸上、ゴールデングランプリ、ゴールデンスパイクまで4戦4勝と無敵の強さを発揮。
パリ五輪へ死角なし――。
周りからはそう見えていたが、決して楽観できる状況ではなかったという。
「最初の4戦は勝ってはいますけど、調子が決して良かったわけではないんです。しかも、その状態からなかなか抜け出せずにシーズンを過ごすことになって。結局、パリ五輪も調子が上がりきらないまま臨んでいました。今季、最後のダイヤモンドリーグ・ファイナルでようやく復調の兆しが見えてきたかなという感じだったんですよ」
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