世界32位のアグニエシュカ・ラドワンスカは、マッチポイントを決めると、思わず両手でガッツポーズを作った。全米3回戦。前年度覇者で世界2位のシャラポワを倒した瞬間だった。約2時間の試合中、顔色ひとつかえずにプレーしていたラドワンスカが、最後に初めて笑顔を見せた。
シャラポワは今大会絶好調だった。1、2回戦合計で2ゲームしか落とさなかった。3回戦も、第1セットこそ失ったが、第2セットは6―1。最終セットも主導権を握っていたかのように見えた。しかし、ラドワンスカの深く糸を引くようなストロークは、徐々にシャラポワのミスを誘い始める。シャラポワのセカンドサーブに対し、リターンで動き回り、ダブルフォールトを誘う仕草を見せる。2万人の大観衆の前で、ジュニア選手が元女王を翻弄していた。とても4大大会に6度しか出場していない18歳には見えなかった。
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photograph by Hiromasa Mano