一流選手の涙はそうそう見られるものではない。それが、強い男の代名詞ともいえる柔道家ならなおさらだ。
だが、井上康生(綜合警備保障)はわずか5カ月の間に2度も泣いた。最初は昨年8月、アテネ五輪での屈辱の涙。そして2度目は1月9日に行われた嘉納治五郎杯での嬉し涙。地獄を見た天才柔道家は、143日間の苦闘の末、ついに復活への第一歩を踏み出した。
誰もが金メダルを信じて疑わなかったアテネ五輪男子100kg級では、4回戦でE・ファンデルヘースト(オランダ)に背負い投げで畳の上に叩きつけられた。気持ちの整理がつかないまま臨んだ敗者復活戦も2回戦で敗退。大きな体を震わせて泣きじゃくった。
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