中止となったGPファイナルに、日本人同士のペアとして史上初の出場を決めていた「りくりゅう」ペア。北京五輪代表内定第1号となった2人の強さの秘密を、彼らをよく知る'12年世界選手権銅メダリストが語った。
三浦璃来と木原龍一の2人が、笑みをたたえリンクを颯爽と駆け抜けていく。昨季の世界選手権10位、今季はGPシリーズで連続の表彰台入りを果たした2人を見て、誰もが「日本にこんな上手いペアがいたのか」と驚いたことだろう。ペアのソチ五輪代表の高橋成美は、2人の強みをこう語る。
「2人が評価されているのは、シングルの日本人選手ならではの強みが、ペアにプラスされたことです。日本人はもともと膝を使ったスケーティングや丁寧なエッジワークの技術は高い。でも今まではペアとしての技術が高くないことで『上手いシングルスケーターが一緒に滑ってる』と言われ、一人一人の良さも認められてこなかったんです。2人はペアとしての技術が世界トップクラスになったことで、改めてスケーティング力の良さがプラスされた印象です」
木原は'13年1月にペアに転向し、わずか1年の準備で、高橋とともにソチ五輪に出場した。高橋はその五輪をこう振り返る。
「私たちの合い言葉は『勝ちに行こう』ではなく『怪我しないようにしよう』。団体戦の要員としてそこにいるだけの立場、期待されていないという居心地の悪さがありました。結局、団体戦では力になれなかったという思いが強かったです」
複雑な思いを抱えたソチ五輪を経て、2人はペアを解消。木原は須﨑海羽とのペアで平昌五輪に出場し、'19年に三浦と出逢った。当時の三浦はペア経験4年目。2人が初めてトライアウトした日に「トリプルツイストが高く上がった」という話は有名だ。
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photograph by Yukihito Taguchi