#1128
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「まだ現実を受け入れられない」“無敗王者”武居由樹はなぜメキシコ人挑戦者にKOされ、涙を流したのか「全部、自分のパンチは読まれていた」《WBO世界バンタム級タイトルマッチ》
2025/09/26
井上尚弥の登場を目前に控えたリングで「まさか」は起きた。キックからの転向後、勇猛果敢なファイトで無敗を誇ってきた王者はなぜメキシカンに屈し、大粒の涙を流したのか。(原題:[衝撃KO負けの真相]武居由樹「計算外の涙」)

残酷なプロ初黒星だった。最後は避けたかったはずの近距離での強気の応戦が仇となる。メキシコ人の荒々しい右フックの連打で逃げ場のないコーナーに追い込まれると、下から突き上げる7連発を顔面に被弾。ヒザががくっと折れた姿勢のままレフェリーに抱きかかえられた。3度目の防衛戦でWBO世界バンタム級王座から陥落した武居由樹(大橋)は、そのままリングに座り込み、悔し涙で顔をぐしゃぐしゃにした。憔悴した様子で試合後の会見に姿を見せても、「まだ現実を受け入れられない」と頭の整理ができていないようだった。
9月14日の一戦は重みが違った。水面下では同級1位のクリスチャン・メディナに勝つことを前提にビッグマッチの計画も進められていたのだ。キック時代から意識する那須川天心(帝拳)との対戦はファンだけではなく、本人も希望するマッチメーク。他団体との統一戦も視野に入れながら、準備段階から「ここで勝たないと何も始まらない」と自らに言い聞かせていた。警戒すべき点を怠らず、接近戦、強烈なフックは頭にインプット。ただ、指名挑戦者はそれ以上に王者の癖を研究していた。
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photograph by Hiroaki Yamaguchi
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