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【ボクシング王国へ】井上尚弥が圧勝「9.3」で進んでいた“ある実験”…武居由樹が対戦を熱望する相手とは?《中量級で勢力拡大なるか》

2024/09/12
ドヘニーに7回TKO勝ちをした井上尚弥
またしても圧勝に終わったモンスターの防衛戦。既視感のある光景にも見えるが、実は試合中、未来に繋がるいくつかの“実験”が行われていた。武居vs.比嘉戦を含め、今回の興行の意義を読み解く。(原題:[9・3有明大会レポート]井上尚弥らが向かう先)

 5月6日、井上尚弥が主役を務めた東京ドーム興行は4万3000人の観衆を集め、国内ボクシング史に残るビッグイベントとなった。世界の“モンスター”井上がヒール役のルイス・ネリをTKOで仕留め、K-1王者からボクシングに転向した武居由樹が苦しみながら世界王座を獲得。空前のイベントは成功裏に幕を閉じた。

 9月3日、井上は東京・有明アリーナに帰ってきた。「東京ドームは集大成ではない。ここからキャリアを加速していく」と話していた絶対王者にとって再スタートとなる大事な舞台だ。そして同じリングには、モンスターに続けと“ボクシング黄金時代”のあすを担う武居、平岡アンディ、佐々木尽ら精鋭が顔をそろえた。

 井上をはじめ、それぞれのボクサーには目の前の勝負があり、先を見据えた思惑があった。1万5000人の観衆で膨れ上がったアリーナは絶対に負けられない試練の場と化した。プロモーターの大橋秀行会長が「東京ドームから今回の興行につながった。この先、ボクシング界にとっていい道が開けると思う」と総括した有明興行。のちにターニングポイントとして語られるかもしれない「9.3」の意味を問う。

リカバリーで未知の領域までウエートを増やす挑戦。

 押しも押されもせぬスーパースター、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上は挑戦者にサウスポーの強打者、TJ・ドヘニーを迎えた。ドヘニーは元世界王者とはいえ、世界戦は5年ぶりという37歳のベテラン。その底力は侮れないものの、下馬評がチャンピオンの圧倒的有利となるのはいつものことだった。

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photograph by Naoki Fukuda

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