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《追悼》「僕のイメージでは打率10割です」V9巨人でなぜ長嶋茂雄は“特別な存在”だったのか?「川上哲治監督から罰金を命じられて」《証言:高田繁、柳田真宏》
「プロ野球選手というのは結果がすべて。ホームランにしても打点にしても、王(貞治)さん、張本(勲)さんをはじめ、長嶋(茂雄)さんよりも数字を残している選手は何人もいます。それでもミスターがこれだけ人気なのはどうしてだと思いますか?」
1968年にプロ入りし、V4からV9までレフトのレギュラーとして長嶋のプレーを間近に見てきた高田繁。彼に「V9時代の長嶋茂雄について伺いたい」と告げると、逆に質問された。高田の答えはこうだ。
「それはね、ファンはもちろんチームメイトが“頼む、ここで打ってくれ!”という場面で、100%打ってくれたからですよ」
データを調べるまでもなく「100%打ってくれた」事実はない。それでも、迷いのない口調で高田は続ける。

「もちろん、そんなはずはないんだよ。でも、本当にみんなの期待を裏切らないバッターだった。天覧試合、オールスター、日本シリーズと、ビッグゲームになればなるほど確実に結果を残している。僕のイメージでは打率10割なんですよ。“バカじゃないか?”って思われるかもしれないけど、それぐらい勝負強かったんだから」
その姿は、熱烈なジャイアンツファンが「オレが見ていたら長嶋は必ず打つんだよ」と無邪気に語っているようだった。
「何を言ってるの、僕はファンの人たちよりもっと間近で見ているんだよ。“絶対勝ちたい!”というときに、長嶋さんは必ず打ってくれるんだから」
身振りを交えて高田が力説する。チームメイトから絶大な信頼を寄せられる勝負強さこそ、長嶋の最大の持ち味だった。
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