#1142
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「一度だけ、負けて泣いたことがある」原辰徳が振り返る2007年巨人軍の“対中日戦略”と屈辱的な敗北から学んだ“勝負師の条件”「落合さんは…動かない監督なんです」

2026/04/25
高橋由伸の1番起用、上原浩治のクローザー配置など、大胆なアイデアでリーグ制覇を果たした原采配。だが、その先に待っていたのは屈辱的な敗北だった。後の栄光へつながる、2007年の対中日戦略を振り返る。(原題:[3連覇の礎]原辰徳「掟を破った勝負師」)
終盤まで巨人・中日・阪神による三つ巴の大混戦が繰り広げられた。最後は巨人が抜け出し、本拠地最終戦でのサヨナラ勝ちで優勝を決める。だが、セ・リーグ初のCSで歓喜は一転。日本シリーズへの切符は中日が掴み取った
終盤まで巨人・中日・阪神による三つ巴の大混戦が繰り広げられた。最後は巨人が抜け出し、本拠地最終戦でのサヨナラ勝ちで優勝を決める。だが、セ・リーグ初のCSで歓喜は一転。日本シリーズへの切符は中日が掴み取った

 勝負の結果に心が揺らぐ。

 特に敗れたときこそ冷静であらねばならないのに、感情に押し流されるのは勝負師としてあってはならないことかもしれない。

「でも、僕も一度だけ、負けて泣いたことがある」

 原辰徳がかつてこう語っていたのは、2007年10月20日のことだった。

 巨人がクライマックスシリーズ(CS)の第2ステージで中日に敗れ、日本シリーズ進出の夢を断たれた日だった。この年からセ・リーグでも行われたCSは、優勝チームに1勝のアドバンテージもなかった。そこで巨人は5年ぶりのリーグ優勝が決まってから、CSに向けて万全の準備をして臨んだはずだった。しかしこの戦いで落合博満率いる中日に、1勝もできずに3連敗のスイープで敗れた。チームにとっても、ファンにとっても、予想もしなかった惨めな敗退劇でシーズンは終わった。

「俺のこの涙は忘れないでくれ」

 試合後の東京ドーム。一塁側の選手サロンを重苦しい空気が支配する中で、シーズン終了のミーティングが行われた。

「俺は悔しい」

 選手にこう切り出した瞬間、原の目には涙が滲んでいた。

「俺はこんなに悔しい思いをしたことはない。この責任はすべて自分にある。だから俺はこの涙を忘れない。来年はまた新しいチームでスタートするだろうけど、もし俺も、君たち選手諸君も、ジャイアンツのユニフォームを着る機会があるならば、俺のこの涙は忘れないでくれ」

Takashi Shimizu
Takashi Shimizu

 実はこの戦いの結末は、第1戦の試合前にすでに決していたのかもしれない。

「第1戦の先発投手の読み違いですよね。試合前のメンバー交換が終わって、原監督がもの凄い剣幕で怒っていたことだけは、今でも覚えています」

特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Hideki Sugiyama

0

0

0

この連載の記事を読む

もっと見る
関連
記事