#1115
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「バスケIQが高くなっている」河村勇輝は東海大学の“短くも濃い2年間”で何を得たか?「彼はフル単位を取得、教職の単位も」《恩師が貴重な証言》

昨季まで24年間、東海大バスケ部監督を務めた陸川(左)
大学を中退してプロへ――。だが異例の「飛び級」に誰もが納得した。チームを勝利に導く司令塔ながら、学業成績も優秀。次の段階へと背中を押した恩師は、教え子が壁を越えていった日々を誇らしげに振り返る。(原題:[恩師が語る]東海大学「短くも濃い2年間」)

 河村勇輝は大学で学んだ2年という時間の中で、自身の進むべき方向を定めた。

 高校日本一を決めるウインターカップで福岡第一を2連覇に導いた河村は、「体育教員の免許を取得したい」という希望もあり、高校卒業後は大学バスケの強豪である東海大に進学した。教員の父を持ち、成績優秀な河村の進路に誰もが納得したものだった。

 しかし、ウインターカップが終わった直後に三遠ネオフェニックスに特別指定選手として加入すると、その評価は一変する。まだ高校を卒業していない選手が、スピードを活かしたプレーでプロ選手と互角に渡り合い、インパクトを残したのだ。すると周囲からは「大学でプレーするメリットはあるのか?」との声が飛び交うようになった。これは、大学に在籍していた2年間、常について回る言葉だった。

「僕の選択として間違ってなかったと言い切れます」

 しかし、河村は周囲の雑音に対して、大学1年次の秋にはこう言っていた。

「大学でプレーするメリットというか、東海大に来たことが、僕の選択として間違ってなかったと言い切れます。高卒でプロ選手になるよりも、東海大でプレーすることで技術力がつき、バスケIQが高くなっていることを実感しています」

 東海大は走力を活かしながらもハーフコートの展開に定評があるチーム。フルコートを走る福岡第一とは真逆といえるスタイルのチームに入部することで、新しいバスケを学び、バスケIQ――いわゆる知識量が増えたと河村は言いたいのだ。

 昨季まで24年間にわたって東海大バスケ部の監督を務め、現在はアソシエイトコーチとしてチームを支える陸川章は河村を勧誘した時の様子をこのように語る。

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photograph by Tomosuke Imai / Asahi Shimbun

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