#1115
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《独占直撃》「夏は一緒に日本へ行くつもり」ジャ・モラントはなぜ河村勇輝の“専属セキュリティ”なのか?<河村は証言「ジャは頼れるお兄ちゃん」>

リーグ屈指の能力を有しながら、問題行動もケガも多い――。河村の兄貴分には、かつてそんな悪評が付きまとっていた。だが今の彼は違うと誰もが言う。その姿を知る関係者、そして頼れるリーダーに成長したジャ本人に話を聞いた。(原題:[独占直撃]ジャ・モラント「夏は一緒に日本へ」)

 去年11月、NBAシーズンが始まって1カ月もたたない頃のこと。試合後のメンフィス・グリズリーズのロッカールームで河村勇輝のまわりに何人かの記者が集まってきたのを、部屋の反対側にいたジャ・モラントが目ざとく見つけた。当時モラントは足を故障していたのだが、松葉杖をつきながら河村に近づき、声をかけた。

「ユウキ、大丈夫か? セキュリティが必要か?」

 河村は笑顔で「大丈夫だ」と答えたが、その後もモラントは「俺はユウキの専属セキュリティだ」と宣言して近くで河村を見守り、途中で部屋に入ってきたチームメイトのジャレン・ジャクソンJr.にまで、冗談半分で「彼に手を触れるなよ」と警告し、まわりの笑いを誘ってもいた。

 モラントは2019年のNBAドラフトでグリズリーズが全体2位指名した25歳のポイントガード。類まれなる運動能力を生かしたダイナミックなプレーをすることで人気のスーパースターだ。

 そんな彼が、10月のトレーニングキャンプ中から河村のことを気にかけ、面倒を見てきた。あるときは専属セキュリティとして、あるときはダンスの先生として、そしてあるときはスラングの多い英語教師として。もちろん、本職のバスケットボールでも、河村が質問を投げかけると、どんなことでも教えてくれた。

河村「何でも話し合える関係ですね」

 河村は言う。

「ジャは頼れるお兄ちゃんって感じです。初めて会ったときから、まるでずっと前から知っていたような感覚でした。僕も最初の頃はもう何も英語を理解できなかったのに、コミュニケーションを取りにきてくれたり、チームの輪に入れてくれたりして。最初にチームのリーダーの彼と仲良くなれたことによって、他のチームメイトも、よりコミュニケーションを取ってくれるようになりましたし、僕も積極的にコミュニケーションを取りやすい環境になったと思います。今は気をつかうことなく、何でも話し合える関係ですね」

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photograph by Getty Images

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