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「自重トレーニングが生んだ究極の体」谷川航&翔のフォーマンスを高める“奥義”とは?《兄弟が語る「筋肉よりも肩甲骨」》

2024/02/13
左から谷川航、谷川翔
指先、爪先まで精密にコントロールし、力強さとしなやかさを両立させる体操競技。異次元の動きを追求するなかで、己の肉体をどのように作り上げていくのか。谷川兄弟が語った。

 兄の航は2021年の東京五輪男子団体銀メダリストで、'22年の世界選手権男子個人総合で銅メダルを獲得。2学年下の弟・翔は全日本個人総合選手権を'18、'19年に連覇し、'19年はNHK杯との個人総合2冠を達成している。体操ニッポンの団体メンバーとして活躍するのはもちろんのこと、体操選手の誰もが憧れるオールラウンダーとしての勲章を持っているのが、谷川兄弟のすごさだ。

 幼い頃からアクションスクールや水泳教室、体操教室に一緒に通っていた2人は、小学生の途中で体操一本に絞ることを決め、健伸スポーツクラブ、市立船橋高校、順天堂大学、セントラルスポーツと、つねに同じ道を進んできた。当然ながら、子供の頃やジュニア時代にやっていた基本トレーニングはほぼ同じだ。

 ところが体操選手としての特徴はそれぞれ異なっており、ある意味、真逆とも言える。瞬発力があり、跳馬やゆか、つり輪を得意とする「剛の航」と、たぐいまれな柔軟性を生かし、繊細さも必要なあん馬を最も得意とする「柔の翔」。2人はどのような意識で体操選手としての肉体をつくり上げてきたのだろうか。

航は昨年の世界選手権では個人総合で銅メダルを獲得 Getty Images
航は昨年の世界選手権では個人総合で銅メダルを獲得 Getty Images
昨年は'19年以来の世界選手権代表入りを果たした翔 Getty Images
昨年は'19年以来の世界選手権代表入りを果たした翔 Getty Images

「ジュニア時代に一番意識していたのは体幹トレーニングです。脚を台に乗せて、下向き、仰向け、左、右と各2分静止状態を保つ。これは毎日必ずやっていました」

 航が真っ先に挙げたメニューは、うつ伏せになった状態で前腕と肘を地面につけてその姿勢を保つ「プランク」と呼ばれる体幹トレーニングを4方向で行うイメージのもの。このほかにも定番メニューとして、様々なバリエーションがある倒立練習やロープ登り、足腰を鍛えるための数十cmの台を使ったジャンプトレーニングなどを毎日実施していたという。すると、横で頷きながら聞いている翔が補足する。

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photograph by Shunsuke Mizukami
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