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「弓子に指摘してもらって、いいチャンスだなと」イチローが語る新しいトライ、そして「完敗」を認めた相手とは?「強烈に彼を意識して、倒したいと」《インタビュー/2007年》

これまでと違う感情が、イチローの全身を包んでいた。フィールドの上で、しかも試合中、こんなふうにこみ上げてくる想いが何なのかを理解できなかったことはない──。
2007年9月29日、マリナーズの今シーズン、161試合目となるレンジャーズ戦。6回表の守備についたイチローは、初めて味わう屈辱感に打ち震えていた。その直前の5回裏、イチローはヒットを打つことだけを自らに課して、打席に立った。
第3打席、相手はケビン・ミルウッド。2-2からの5球目、イチローは外角のカーブを捉えた。イメージの中で完璧に捉え、ヒットにできるという揺るぎない自信を持ってバットを振りながら、イチローの打球はショートの正面に転がった。結果は、ショートゴロ。このわずか1打席の結果が、イチローの心をかき乱したのである。
「わからないんです。ヒットにできると思って打ちに行って、それが打ち損じになったとき、どうしてそうなってしまったのかって、答えが出ないことがあるんです……」
完敗──。
翌9月30日、シーズンを終えて記者に囲まれたイチローは、3度目の首位打者にあと一歩、届かなかったことを問われて、「完敗」という言葉を使った。その言葉がやけに耳に残った。イチローが、このような強い調子で、自らの負けを認めた記憶がなかったからだ。3割、200安打、100得点、30盗塁を7年連続で綺麗に揃え、オールスターではMVPを獲得。シーズン途中には5年で100億円を超える契約も交わし、光り輝くだけだったシーズンを振り返ったとき、イチローの口をついて出た、あまりに似つかわしくない言葉。イチローは、こう言っていた。
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