
27パーセント?
へーっ。そんなに取ってたんですね。僕は数字に影響を受けるタイプではないので、当時も「よかったですね」くらいの感じだったと思います。たとえば自分の中でわりとうまくできた『王様のレストラン』というドラマがあったんですけど、あのドラマがどのくらいの数字を取ったのか、僕は知らないし、よく覚えていないんです。だからすごくいいと思っているのに数字が低いとか、イマイチだと思っているのに数字が高いというストレスは、どっちもない。そもそも数字自体に重きを置いていないのでね。
『古畑任三郎』のファイナルをやるにあたって、犯人役に誰をキャスティングしようかという時、イチローさんがこのドラマのファンでいて下さるらしい、という話が出たんです。だったらと、ダメ元でオファーしたら、快諾して下さった。
ただ、イチローさんが『古畑』を好きでいて下さるのはすごく嬉しいんですけど、やっぱり俳優さんではないので、じつはとっても不安でした。どのくらいお芝居ができるのかもまったくわからなかったので、失礼ながら、それを調べたいとお願いしたんです。もしお芝居ができないのなら、できないなりの本を書かなければなりません。言いやすいセリフとか、あまりセリフを言わせないとか、それを僕の中で考えなければならない。だから、イチローさんの演技力を知りたかったんです。

一緒に本読みをした三谷が「安心」した理由
どこかのホテルの部屋で、一緒に本読みをしました。もちろん、その時にはまだイチローさんのための本はありませんから、松本幸四郎さんがゲストだった「すべて閣下の仕業」の回の台本をイチローさんに事前にお渡しして、読み合わせをしたんです。僕が田村正和さんのところを読んで、イチローさんが幸四郎さんのところを読む。犯人と古畑のやりとりをやってみたわけです。そうしたら、僕が思っていた以上にきちんとセリフが言える方だった。すごく安心しました。そこから、イチローさんをどう、役者としてフィーチャーしようかと考え始めました。

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