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「ゆくゆくは日本代表の監督を」西野朗が語る“ザ・キャプテン”への信頼と後悔《長谷部誠が他の選手と「別次元」だったもの》

2024/06/18
'18年ロシアW杯、ベルギー戦はアディショナルタイムに逆転された
 2018年ロシアワールドカップ直前になって監督に就任した西野朗。短期間でチームを立て直してベスト16に進出した背景には、絶大な信頼を寄せるキャプテン長谷部誠との“連係”があった。

もしハセがいなかったらどうなっていたか。

 ハセを一言で表現するならザ・キャプテン。もちろん選手たちはみんな日本代表のステータスを感じてくれている。ただ彼の場合、そこに対する強さとか思いというのがちょっと別次元のように感じた。常に日本代表のこと、チームのことを優先して、自分がどうプレーすればいいか、どう振る舞えばいいかを考えていた。

 夜、スッと一人で宿舎の部屋に来て、戦術面についての質問をしてきたこともある。選手がどのように思っているかをハセ経由で知ることもある。もう何となくコーチングスタッフの一人と言ってもいいくらい。就任から2カ月でW杯という短いスパンだったけど、もしハセがいなかったらどうなっていたのかと正直思う。

 監督が代わったことで選手たちにも不安がなかったわけじゃない。そのなかでみんなを結束させて、勇気を持って試合に臨んでいく力をチームに与えてくれた。本来は監督がやらなきゃいけない部分をサポートしてくれていた。

 ケガ持ちでもあったから、チームのことよりもまずマッサージやメンテナンスをして自分のほうに目を向けてくれていいからと言ったこともある。それでもチームのことばかりに目を向けるのがハセだった。

「謝る必要ないです、僕らは勝ち上がったんですから」

 思い出すのは(1勝1分けで迎えた)グループステージの最後、ポーランド代表との試合。先発メンバーを6人入れ替えて長谷部もバックアップにしたのは、23人の総力戦でなければ勝ち上がるのは難しいと考えていたから。0-1とリードされた状況で他会場の途中経過もあって、これ以上の負けじゃなければ突破できると分かった。フェアプレーポイントの関係上、イエローカードをもらわないでボールをキープする戦い方が必要。チームとして統一感を持ってやるなら、その役を担えるのはハセしかいなかった。残り10分ちょっとで投入して指示したとおりにやり切ってくれた。ハセの伝達能力、求心力あってこそだと思う。

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photograph by Kenichi Arai

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