当時、4歳。サッカーを始めたばかりの少女は、リオネル・メッシの横で無数のフラッシュを浴びる澤穂希の振袖姿を見て、こう思った――。
「わたしも“ばろんどーる”とりたい」
バロンドール受賞。つまりは世界最高の選手になるために。毎日毎日、自宅近くの河川敷でキックの練習に励んだ。ボールを蹴り返してくれたのは父である。バスケ愛好家にもかかわらず、娘の夢を叶えるためにサッカーのトレーニング法を独学で研究してくれた。
そんな父からいつも言われた。
「常に逆算して行動しなさい」
素直な少女は教えを守った。体格で劣る自分がボールをキープするにはどうすべきか、パワーに頼らずゴールを決める方法とは何か。逆算と思考を繰り返し、U-17日本代表でキャプテンマークを巻く逸材に成長した。
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photograph by Kaori Nishida