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「ダービーで勝つ馬体とは?」ジャングルポケットら過去の王者が導く「軽量有利の摂理」…今年は波乱の匂い?【馬体マニアが読み解く】

2024/05/17
栗東の渡辺栄厩舎で体を洗われるジャングルポケット(2001年撮影)
その栄冠を手にする馬は年に1頭しかいない。しかし、勝者の系譜を縦断的に眺めてみれば、いくつかの身体的傾向が見えてくる。厩務員経験を持つ目利きの記者が、ダービーボディーの秘密に迫る。(原題:[馬体マニアが読み解く]王者たちの肉体の法則)

 ダービーを勝つ馬体とは……。

 坂路調教で鍛え抜かれ、他馬の倍の容量を誇ったと言い伝えられるミホノブルボンの臀筋。東京競馬場では生涯負けなかったジャングルポケットのストライド走法。名手に飛んだと錯覚させたディープインパクトのしなやかな背中――。

 90頭の歴代ダービー馬には90通りの専売特許があろう。それでも、世代の頂点を極めた馬の共通項を探れば、冒頭の問いの答えに近づける。

 まずは、東京2400mのコース形態に着目し、ダービーに有利な馬体を絞っていく。皐月賞が行われる中山2000mより最後の直線が200m以上長く、カーブの曲がりもゆったり。コーナリングで紛れが発生する可能性が低く、スムーズにトップスピードに乗れる馬が多くなる。まさしくチャンピオンを決めるにふさわしいレイアウト。小回りを攻略する器用さが求められた皐月賞から一転、ダービーでは大箱をダイナミックに走る素養が問われるわけだ。

2001 Jungle Pocket ジャングルポケット Tomoyuki Hara
2001 Jungle Pocket ジャングルポケット Tomoyuki Hara

 したがって、重要になるのはストライドの大きさ。全馬が伸び伸びと走れるのならば、一完歩で稼げる距離が長いほど有利であることは想像に難くないだろう。

 ストライドは人間の歩幅同様、基本的には胴、脚の物理的な長さによって規定される。とはいえ、フルゲート18頭の狭き門をクリアした世代の猛者は大半が胴長、脚長の理想的なスタイルを有している。

 注目すべきは骨格よりも筋肉の質。柔らかくしなやかな筋肉は関節の可動域を広げ、ストライドを拡大させる。歩いたり走ったりした時に、馬体重の数字以上に体を大きく見せる馬は柔軟性に富んだ筋肉の持ち主だと判別できる。

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photograph by Tomoyuki Hara

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