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「今は楽しんでいる」本田武史が語る髙橋大輔の復帰シーズン「気持ちの持っていき方がぜんぜん違う」<インタビュー/2019年>

2010 VANCOUVER
引退前と復帰後、髙橋大輔の滑りにはどんな変化があったのか。2007年からジャンプコーチとして指導にあたり、復帰後も間近で支え続ける本田武史が語ったのは、技術面と精神面の成長、そして周囲のスケーターに与える影響力の大きさだった。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2018-2019[本田武史が語る復帰シーズン] 大輔はいま、楽しんでいる。)

 現役時代、日本で初めて4回転ジャンプを成功させるなど、屈指のジャンパーとして活躍した本田武史は、引退後の2007年から'14年のソチ五輪まで、ジャンプコーチとして髙橋大輔を間近で支えた。そして今季、髙橋の現役復帰に際して、日々レッスンを行なっていた当時とかかわり方は異なるものの、関西大学のリンクで本田は再び彼の練習を見守り、アドバイスを送ってきた。引退前の髙橋と、今季の復帰後の髙橋。そこにはどんな変化があったのだろうか。ジャンプを始め髙橋の技術面を熟知する本田はこう話す。

「ソチのころまでは細かいところの指導もしていたのですが、復帰してからは、ぱっと見でアドバイスするということが多いです。例えば、『その入り方だとジャンプのタイミングが合わないよね』とか『今のはちょっと体重が後ろ過ぎるから』と感覚的なことを言ってあげるというスタンスになりました」

復帰前とのトリプルアクセルの違いは「ピンポイント」。

 復帰後の髙橋の変化について尋ねると、本田はまず、トリプルアクセルの違いについて触れた。

「以前とは練習量がどうしても違います。ソチまでは練習量が多かったので、どんな状況でもある程度コントロールできていました。例えば跳ぶ前の入り方がぶれても、対応して跳べていたんです。復帰してからはそこまで練習量が多いわけではないので、跳べる範囲が狭くなった。入りの位置が特定の位置じゃないと跳べない、という感じです。より具体的にいうと、入っていくときのカーブの具合とかリズム、跳び出す方向などが、成功させるためにはピンポイントになっていた。

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photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

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