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「でも、この世界選手権は結果を求めて行きます」宇野昌磨、失望からの再出発<ドキュメント/2019年>

2019.03.21 World Championships
世界選手権フリー演技後、取材エリアに現れると、「自分の弱さに失望した」と己を責め、涙を浮かべた。心に深く刻みこんだ悔しさと決意。懸命に前を向く彼が、次に目指す戦い方とは―。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2018-2019宇野昌磨 失望からの再出発。)

 シルバーコレクター。ここ2年、そんな風に海外メディアから呼ばれるようになっても、気にしたことはなかった。金も銀も彼にとっては大きな違いはなかった。子供の頃からモットーは「練習してきたことを出す。結果はその上でついてくる」。

 しかし21歳になったこの冬、転機はおとずれた。2月の四大陸選手権で初優勝すると、「世界選手権は結果を求める」と初めて宣言。ところがミスが重なり、まさかの4位で表彰台さえ逃した。

「僕が思っていた以上に、自分が弱いことを痛感しました。この悔しさを1日でも長く心に刻んで、少しでも成長して、またトップ争いに戻って来られるよう頑張ります」

 一度に覚醒と失墜を経験した宇野は、来季に向けて新たな境地に立った。

自分が優勝することで、周りの人が喜んでくれるんだ。

 宇野の「結果を求めない」というモットーは、山田満知子コーチの教えが根底にある。

「子供の頃から勝ち負けより、練習の成果を出すことが大事と言われてきました。ミスをして勝っても褒められない。でも力を発揮すれば、何位だったとしても褒められるんです」

 だからこそ、世界トップを狙うレベルにまで力を伸ばしてきても、宇野は勝利を狙わなかった。試合でも「いつもの練習通り」を意識することで、無駄な緊張は生まれない。一方で、あと一歩の意地が足りず、勝てる試合でさえ銀メダルに終わっていた。

 宇野は、銀メダルであることは後悔していなかったが、その内容には反省していた。

「(昨季の)GPファイナルも世界選手権も、連続ジャンプで弱気になっていました。4回転を降りたあとの連続ジャンプは『転んだらもったいない』と思って、3回転ではなく2回転をつけてしまう。それは自分を信じられていないから」

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photograph by Naoyoshi Sueishi

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