記録は、後からついてくる。遠藤保仁は1998年にプロデビューして以来、20年以上にわたって第一線で働き続けている。
前人未踏の公式戦1000試合突破にJ1最多タイの631試合出場、さらにはJリーグ最長の22年連続ゴールという記録も今なお継続中だ。同じく1000試合突破のレジェンドで言えば、あのシャビですらノーゴールに終わったシーズンがある。
J1通算103得点は歴代13位。MF登録ではトップを走り続けている。だが本人はゴールを「あまり気にしていない。特に意識もしていない」。ゲーム構築の職人にストライカーのような欲望はない。
「もちろん決まったらうれしいですけど、それだけのこと。個人でドリブルしてシュートっていうタイプじゃないし、みんなで回して最後に自分が打っただけという感じなので。チームスポーツだから誰が点を獲ったっていい。僕にとってはシュートに至るまでの過程が大事ですから」
ゴールを意識していないと言い切れる理由。それはシュートに対する彼なりの哲学と無関係ではないように感じる。
遠藤は言う。
「どっちかと言うとシュートはパスの延長線上、パスの強いバージョンとしか僕は思っていないので。GKが届かないところにパスすればいいやっていう感覚。それに強さが加わったら一番いいですよね。届かないところとなるとやっぱり端っこ」
パスは失敗したらパスではなくなる。イメージどおりに通す、その延長線上がシュートになっているだけ。コースとタイミングを重視する“コロコロPK”もパスの発想から来ていると考えればうなずける。
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photograph by Asami Enomoto