この国に初のプロリーグができてもう25年が経った。四半世紀分の記憶をざっと遡ると、最初にカズやラモスがいて、中田英寿、中村俊輔が続き、そしてその後に'79年に生まれた「黄金世代」が現れた。
'79年組。彼らは'99年のワールドユースで準優勝し、オリンピックでベスト8に進出し、自国開催のW杯でベスト16に進んだ。その'79年組の中でもひときわ輝いていたのが、小野伸二と稲本潤一の2人だった。
未だ少年のあどけなさを残す年齢でその才能を現すや否や、彼らはさほど長い時間この国にとどまることなく海を渡った。1人はオランダへ、もう1人はイングランドへ。2人は自らの意思でそう決断したようにも見えたし、彼らの才能をどう伸ばしていいのかわからなかった日本サッカー界が、2つの大いなる才能を手放さざるをえなかったようにも見えた。
その2人に話を聞くために、羽田を出発したのは8月最後の週の早朝だった。東京はその日も朝から不機嫌な老代議士のように不快で暑かったが、北へ向かう90分のフライトの後には、礼儀正しい高校生のような清々しい空気が待っていた。
午前11時すぎ、コンサドーレ札幌の練習場に着くと、グラウンドでは浦和レッズから移って来た新監督ミハイロ・ペトロビッチの周りに選手たちが円陣を組み、彼の言葉に集中していた。
8月末時点で、コンサドーレはJ1順位表の上から4番目にいた。長年サッカーを見続けていると、練習場に漂う空気でチームの調子がなんとなくわかる。宮の沢の芝生の上にはいい空気が流れていた。
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