茨城県に部屋を興してから約2年、自らスカウトした弟子から初めて関取が誕生した。親方に指導の手応えと、今後の展望を聞いた。
慶事である。
元横綱・稀勢の里が親方を務める二所ノ関部屋から、高橋、大の里、ふたりの新十両が誕生した。二所ノ関親方は表情を引き締めつつ、展望を語る。
「非常に嬉しいですね。それと同時に、これから本格的なスタートを迎えるという気持ちです」
親方は2021年8月、茨城県に荒磯部屋を興し、その年の暮れに二所ノ関部屋へと改称。そして'22年6月には同県阿見町で部屋開きが行われた。現在は尾車部屋から転籍してきた友風が東十両三枚目に控えているが、親方が勧誘してきた弟子が関取になったのは初めてのことだ。
西十両十二枚目の高橋は1999年、福島県須賀川市出身の24歳。須賀川はウルトラマンの生みの親である円谷英二、'64年東京五輪マラソン銅メダリスト、円谷幸吉の生誕地として知られるが「関取になったのは自分が初めてです」という。先場所は西幕下四枚目だった高橋だが、取組編成の都合ですでに二番、十両の力士との取組を経験している。
「取組までの時間が長く、実際に組んでみると、関取たちのまわしは材質も違いますし、つかみにくいことに驚きました。幕下までの七番を取るのもたいへんだったので、十両に昇進してからの15日間は相当キツいと思いますが、自分の得意な右四つの形にこだわって相撲を取りたいと思います」
一方、東十両十四枚目の大の里は、石川県津幡町出身の23歳。高橋とは新潟県糸魚川市にある能生中学校、海洋高校、日本体育大学とたどってきた道がまったく一緒で、大の里が1年後輩となる。
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photograph by Manami Takahashi