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「僕がアメリカでプレーしていたら…」王貞治が語った“米国野球”と“イチロー君”への深い愛情「彼のバッティングとの共通点はボールとの距離」《独占インタビュー》

2025/02/12
殿堂入りしたイチローへメッセージを送った
(原題:[巻頭メッセージ]王貞治「親愛なる米国野球とイチロー君へ」)

 イチロー君が日本選手として初めてアメリカの野球殿堂に入ったことは、とても素晴らしいことだと思う。タイトルを獲るよりも難しく、成績だけでなくインパクトがないと入れるものではない。

 メジャー1年目の2001年に242安打を打って首位打者とMVPを獲った。向こうの人はビックリしただろう。それまでもいろんな日本の選手がメジャーでプレーしていたけど、あれほどまでに強烈な存在感を示したことはなかった。ましてや、足が速く、守備も良くて肩も強い。10年連続で200安打以上も打ったからね。27歳という高年齢からのメジャー挑戦にも関わらず、そういうことを成し遂げた人はいままでいないんだからね。

 アメリカ人選手もそうらしいけど、1年目は球審から理不尽な判定を受けたりする。イチロー君はいわゆるメジャーの洗礼といった逆境を乗り越えて、ヒットを打つことに関しては「もうイチローにはかなわない」という境地にまで達した。しかも、40歳を越えても目の衰えを感じさせなかった。

日本の野球界はアメリカに足を向けて寝られない

 そもそも、日本の野球界はアメリカに足を向けて寝られないと僕は思うんだよね。ベーブ・ルースが日本に来たのは昭和9年(1934年)だった。アメリカの選手たちは数年ごとに、わざわざ船で来てくれて野球を見せてくれた。日本の学生野球は歯が立たなかったけど、上には上がいることを知って、もっと練習しなきゃいかんとなった。もしアメリカが来てくれなかったら、日本のレベルはこんなに上がっていない。

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photograph by Hideki Sugiyama

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