関取になれば、化粧廻しを締められる、大部屋から個室になる、なにより給料がもらえる、つまりは力士として一人前になる。本書は幕下筆頭にまでいきながら、あと一歩のところで、それが叶わなかった元力士6人を取材したもの。読み進めるほど、書名にある「関取になれなかった」の意味が多義的に膨らんでいく。“付け人で終わってしまった”との意味もそこにある。
最初に登場する春日国は、3人の横綱に仕え、信頼される付け人であった。
「俺の下で頑張って上がろうよ」
横綱・日馬富士がそんな春日国にかけた言葉だ。自分のために一生懸命になってくれる者に、一人前になって欲しいとの思いからの言葉である。
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