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「サッカーを戦術に還元して議論しすぎる」イビチャ・オシムの日本への「期待」と「違和感」<代表監督退任直後のロングインタビュー >
再会したイビチャ・オシムは、驚くほど元気だった。訪ねたのはオーストリアのグラーツ郊外に位置するリハビリセンター。美しい木々と庭が印象的な、高級マンションかと見紛うほどのモダンな建物である。
受付を済ませ、黄色い革製のソファーに腰掛けて待っていると、程なくして本人がアシマ夫人を伴って現れた。毎日、4、5時間ものリハビリメニューをこなしているというにもかかわらず、その表情に疲れた様子はない。多少スリムにはなったが肌つやもいい。そして以前と同
じように、やや照れたような笑いを浮かべながら固い握手を交わすと、ソファーにどっかと腰を下す。
「遠かっただろう、よく来たな」
オシムに聞きたいことは山ほどあった。日本サッカーのこと、ワールドカップのこと、そしてJリーグのこと。だが彼にも同じように話したいことが山ほどあったのだろう。あいさつも早々に、いきなり今夏(2008年)のユーロについて論じ始めた。
「今回のユーロでは世代交代が進んだが、、これはユーロに限らない世界的な傾向だ。サポーターもジャーナリストも新しい世代、、新しいスターを求めている。たしかにマルディーニや一部のベテランたちは今も活躍しているが、時代が求めるのは新しい顔だ。スペインのシルバやセスクはじめ、彼らの世代はすべて良かった。またチェコやオーストリア、セルビア、クロアチアでも20歳前後の新しい波が生まれている。オーストリアの新監督に就任したカレル・ブルックナーは、若手を代表に選抜し、経験を積まそうとしている。オーストリアが低迷から脱出する契機になるかもしれない」
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