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[赤き熱狂の遺産]韓国「4強神話と2002年キッズ」

2022/07/02
名将ヒディンクを迎えた韓国代表は初のグループリーグ突破に挑み、強豪国を次々と撃破してベスト4に進出した。今も語り継がれる“神話”はいかに達成され、その後の同国サッカーはどんな“遺産”を得たのか。

 韓国は今も「赤い熱狂」を忘れてはいない。2022年6月2日にソウルW杯競技場で行われた韓国対ブラジル戦。試合は「2002年W杯20周年記念試合」と銘打たれ、あのときと同じく赤く染まったバックスタンドには「AGAIN 2002」のコレオグラフィが浮かんだ。新型コロナ対策でマスクを着用していても「テーハンミングッ!!」の大合唱は変わらなかった。

 そんな大観衆をもっとも沸かせたのは、プレミアリーグ得点王にもなった韓国代表キャプテン孫興民(ソン・フンミン)と、その躍動をVIP席で見守っていた往年の韓国代表たち。'02年と'22年の邂逅がそこにあった。

「ファンや観客のお目当てはフンミンでしょう。僕たちはお飾りにもならない」

 試合前の記念パーティー会場で冗談交じりにそう語ったのは、朴智星(パク・チソン)と李栄杓(イ・ヨンピョ)だ。ともに'02年W杯で大活躍。半年後にはそろってPSVアイントホーフェンに移籍した。'05年に朴がマンチェスター・ユナイテッドに、李はトッテナムに引き抜かれて韓国人プレミアリーガーの先駆者になった。

 だからこそ孫への称賛にも実感がこもる。「僕もプレミアでプレーしたのでわかりますが、アジア人があの舞台で得点王になること自体が本当にすごいこと」と朴が感嘆すれば、李も「アームストロングの月面着陸に匹敵する快挙。200年経っても記録として生き続けるでしょう」と大絶賛していたが、実は孫の憧れが朴であり李でもある。孫は自伝の中でこう記しているのだ。

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photograph by Getty Images

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