野球における動作解析とトレーニング理論のパイオニアが、高校時代から知る佐々木朗希のフォームを分析。理論と知識、指導経験から“進化”の鍵を解き明かし、未来の可能性にも言及した。(原題:[動作解析の第一人者・川村卓が読む]3年目の進化と170kmの可能性)
「衝撃でしたね、佐々木朗希くんの投げ方を見た時は。あれは誰にも真似できないし、教えられてできるものでもない。そもそも、指導者もそんなふうに教えませんから」
そう語る筑波大准教授、硬式野球部監督の川村卓氏は、「令和の怪物」を大船渡高校時代から最も間近に見てきた動作解析の第一人者である。高3の夏、ブルペンで投げる姿を至近距離で視察し、まず驚かされたのはリリースポイントの高さだった。
「投手はできるだけ前でボールを離すのが基本です。腕を振る距離を出せば速い球が投げられて、ストライクゾーンにも入る。佐々木くんのように高いところ、通常よりもっと手前で離すと、普通の投手なら打者の頭のあたりにいってしまうでしょう」
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photograph by Miki Fukano