#1042
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[青山学院大学]原晋「エース育成とは恋愛である」

2021/12/16
ここ10年で箱根路を5度も制した駅伝界きっての知将は、チームの成長とともに、育成の手法も進化させてきた。数々のエースを輩出してきた“原メソッド”の本質とは?(初出:Number1042号[青山学院大学]原晋「エース育成とは恋愛である」)

「最近、よく言われるんです。青学は選手層は厚いけれどエースがおらんじゃないかって。この話、どう思います? だって、5000mを13分台で走る選手が26人もいる学校なんて他にはないですよ。たとえば、ウチで箱根の復路を走る選手は、他の学校だったら往路のエース区間に回ると思う。これは私の本音。正直な見立てです」

 青山学院大学の原晋監督は、'04年に監督に就任、'09年にはチームを33年ぶりの箱根駅伝へ導いた。そして'15年からの7年間で5回の優勝を達成し、平成から令和にかけてエースが林立する組織を作りあげた。

 ゼロから常勝軍団に成長するまでに、チームはどんな過程をたどり、エースはどのような役目を担ったのか。監督の経験では、「強化フェイズによって、エースの意味が変化してくる」と話す。

「本格的に強化がスタートした'04年から、箱根駅伝に復活出場するまでの期間を第1期としましょうか。この時期は『未知との遭遇』です。私も強化の現場から長いこと離れていたし、選手の方もどうやったら箱根に出られるのかも分からない。当時の強化方針は、徹底して集団の力を高めること。朝練習も、ポイント練習も集団走ばかり。みんなで強くなっていこうというコンセプトだから、当時の青学のエースというのは、トラックのタイムを持っている選手というよりも人格者でした」

 監督の考え方、発想に共鳴して、リーダーとしてチームを引っ張っていける人材。それが第1期のエースだった。選手のリクルーティングでも、監督が面談し、しっかりと目を見て話せる選手を好んだ。

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photograph by Takashi Iga

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