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「このチームの指揮を執れるのは幸せ」國學院大學・前田康弘監督が紡いできた“涙のストーリー”…平林清澄の慢心を振り払った言葉とは?《箱根駅伝初優勝&三冠なるか》

2024/12/29
2009年より監督を務める前田康弘(中央)。優勝した全日本のゴール地点でアンカー上原を待つ
数年前から指揮官が公言していた「101回大会での優勝」。大エース・平林を擁し、出雲、全日本を制したチームは、箱根駅伝初制覇という結末で“物語”を締めくくろうとしている。躍進する大学を作り上げてきた、監督の生き様に迫った。(原題:[箱根駅伝初優勝&三冠なるか]國學院大學「前田康弘、涙のストーリーテラー」)

 その男、文字通りの熱血漢だ。

《熱いことは馬鹿じゃない》

 國學院大學陸上競技部の前田康弘監督の著書にはこんな印象的なフレーズがある。

 選手たちと共に笑い、共に泣き、はや15年。この駅伝シーズン、國學院大は出雲駅伝と全日本大学駅伝を制して二冠となるなど、快進撃を続けている。

「前田監督の男泣きを見たことが、僕がこの大学に入学したきっかけになりました。今年こそ前田監督の大号泣を見られるように、箱根駅伝総合優勝を目指します」

 こう話すのはエース・平林清澄だ。平林が高校2年生だった2019年に、國學院大は出雲駅伝で初優勝。逆転優勝の立役者となったアンカーの土方英和を迎える前田の目には、涙が浮かんでいた。

出雲駅伝でアンカー勝負を制したエース平林。今季は主将と寮長も務めるまさに「大黒柱」だ Nanae Suzuki
出雲駅伝でアンカー勝負を制したエース平林。今季は主将と寮長も務めるまさに「大黒柱」だ Nanae Suzuki

 そして、年が明けて'20年正月の箱根駅伝では史上最高順位となる3位に入った。厳しい状況になっても最後まで諦めず、目標だった3位以内を目指した選手たちの奮闘ぶりに、胸を打たれたのだろう。

「出雲の時もそうなんですけど、感動しちゃって。まだ僕、監督としてはダメですね」

 フィニッシュ後にテレビのインタビューでそう答える前田は、込み上げてくるものを抑え切れなかった。

 平林にとっては高校卒業後の進路を考え始めた時期。前田の涙に心を掴まれ、國學院大への進学を決意した。そして、平林らが最終学年を迎えた今季、國學院大は箱根駅伝で初優勝の好機を迎えている。

出雲と同様に3強の激闘となった全日本の区間順位。2列の上がチームの通過タイムと順位で、下が区間ごとの個人タイムと順位。黒田、山本が区間新(◎)の激走で、3大学が2つずつ区間賞(赤字)を獲得するなど戦力は拮抗。國學院大は「つなぎ区間」と呼ばれる5、6区で青学大に迫った
出雲と同様に3強の激闘となった全日本の区間順位。2列の上がチームの通過タイムと順位で、下が区間ごとの個人タイムと順位。黒田、山本が区間新(◎)の激走で、3大学が2つずつ区間賞(赤字)を獲得するなど戦力は拮抗。國學院大は「つなぎ区間」と呼ばれる5、6区で青学大に迫った

「決して順風満帆な競技人生ではなかった」

 前田は、陸上競技の強豪である市立船橋高出身。駒澤大学に進み、主将を務めた4年時には箱根駅伝で初優勝を果たした。卒業後は富士通で競技を継続。その経歴は一見すると華やかだ。だが、本人は「決して順風満帆な競技人生ではなかった」と言う。

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photograph by Shota Matsumoto

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