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「このチームの指揮を執れるのは幸せ」國學院大學・前田康弘監督が紡いできた“涙のストーリー”…平林清澄の慢心を振り払った言葉とは?《箱根駅伝初優勝&三冠なるか》
その男、文字通りの熱血漢だ。
《熱いことは馬鹿じゃない》
國學院大學陸上競技部の前田康弘監督の著書にはこんな印象的なフレーズがある。
選手たちと共に笑い、共に泣き、はや15年。この駅伝シーズン、國學院大は出雲駅伝と全日本大学駅伝を制して二冠となるなど、快進撃を続けている。
「前田監督の男泣きを見たことが、僕がこの大学に入学したきっかけになりました。今年こそ前田監督の大号泣を見られるように、箱根駅伝総合優勝を目指します」
こう話すのはエース・平林清澄だ。平林が高校2年生だった2019年に、國學院大は出雲駅伝で初優勝。逆転優勝の立役者となったアンカーの土方英和を迎える前田の目には、涙が浮かんでいた。
そして、年が明けて'20年正月の箱根駅伝では史上最高順位となる3位に入った。厳しい状況になっても最後まで諦めず、目標だった3位以内を目指した選手たちの奮闘ぶりに、胸を打たれたのだろう。
「出雲の時もそうなんですけど、感動しちゃって。まだ僕、監督としてはダメですね」
フィニッシュ後にテレビのインタビューでそう答える前田は、込み上げてくるものを抑え切れなかった。
平林にとっては高校卒業後の進路を考え始めた時期。前田の涙に心を掴まれ、國學院大への進学を決意した。そして、平林らが最終学年を迎えた今季、國學院大は箱根駅伝で初優勝の好機を迎えている。
「決して順風満帆な競技人生ではなかった」
前田は、陸上競技の強豪である市立船橋高出身。駒澤大学に進み、主将を務めた4年時には箱根駅伝で初優勝を果たした。卒業後は富士通で競技を継続。その経歴は一見すると華やかだ。だが、本人は「決して順風満帆な競技人生ではなかった」と言う。
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