いまやJ1でも指折りのエンガンチェと言っていいかもしれない。大分トリニータの小塚和季だ。
エンガンチェ(スペイン語)とはアルゼンチンにおけるトップ下の役回り。英語にすればフックだ。モノをひっかける道具――留め金や釣り針といった意味になる。人に見立てれば、釣り師といったところか。
敵の最終ラインの手前で守備者に食いつかせた瞬間、1本のパスでぐさりと背後をえぐる。そんな芸当をこなす選手がエンガンチェの役割を担うわけだ。
小塚の真骨頂も、これである。
一瞬タメをつくってから、1本のパスで敵の防壁をバターのようにやすやすと切り裂いていく。しかも、軽やかに、鮮やかに。
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photograph by J.LEAGUE