#983
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<沖縄出身初のホームラン王> 中部商業・山川穂高 「日本最強スラッガーのかけがえなき原風景」

2019/08/04
2009年7月6日の沖縄タイムス紙、スポーツ面。3番仲里、4番山川に盛根監督は「2人に回せば何とかなる」と信頼を寄せていた。
今年もすでに本塁打量産体制。オールスターで最多53万票を集めた埼玉西武ライオンズの4番は、出生地・沖縄でいかなる高校時代を過ごしたのか。当時の野球部監督と同期の3番打者を訪ねた。(Number983号掲載)

 あの飛距離に軌道。目にするたびに思い浮かぶイメージは「軽々と」ではない。

 重油。そいつが流れる感じ。ドロリ粘る液体がじんわりと進んでいく。小さくて硬く白い球は、あらかじめ、行く先を運命づけられている。だから、華やかに飛んでいるのに、ゆったりと空気をかき分けるように遠くへ消える。

 山川穂高。プロ野球、いや、スポーツを観戦する者の喜びがそこにある。チケットの値打ち。テレビ画面に目を凝らすだけの価値が。つまり、でかい。

 大聖堂の鐘の腰回り。巨壁の胸や土管の首。「つぶら」と書きたくなる目も子どもの描くバランス無視の絵のようである。もちろん本塁打の角度は、名前のまま日本アルプスの頂まで届きそうだ。

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photograph by Takuya Sugiyama

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