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野球小僧だからこそ見える戦後史があった。~ビートたけしが語る川上哲治、長嶋茂雄、イチロー~

2016/02/02

 ビートたけしが初めて書いた戦後史は、野球というスポーツを通じて時代を考えるというユニークな構成。そして、野球やお笑いなどのエンターテインメントと戦後の日本がどう関連していたかを露わにする個人史でもある。

 戦後2年目の1947年に東京都足立区で生まれたビートたけし。彼こそ団塊のど真ん中にいる世代である。傷痍軍人が道端でハーモニカを吹き、ラジオで野球と相撲の中継を聞くしか娯楽がない時代、彼にとって最初の英雄は川上哲治だったという。赤バットをトレードマークとした川上に倣い、実家の商売道具だったペンキでバットを赤く塗り、こっぴどく叱られる少年たけし。教育熱心な母に隠れて野球をするため、こっそり買ってもらったグローブを庭の銀杏の樹の下に埋め、使う時だけ掘り返す少年だった。ちなみにある日その穴を掘ったらグローブではなく参考書が出てきたというエピソードが書かれている。昭和の母強し。

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photograph by Wataru Sato

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