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松岡修造「圭はクレーコートの革命者だ」

2015/05/25

 全仏オープンが近づいてきた。圭にとって今年のクレーコートシーズンのスタートはバルセロナ。見事、大会を連覇し、ツアー優勝9勝目。日本人最多だったクルム伊達公子さんの8勝を超えてしまった。不可能とされた記録を、男子が超えるなど僕にとっては“想像できないこと”だった。


 圭が全仏のコートに立つシーンを考えたとき、あるエピソードを思い出す。

 ジュニア合宿に初参加した11歳の圭が、ミーティングで発した言葉はこうだった。

「世界一のプレイヤーになりたい、そして全仏オープンを優勝したい」

 圭のテニスを知っていた僕にとっては違和感があった。球足の速いハードコート向きだと感じていたからだ。土のコートは、ハードコート、芝生のコートとは違い、球足が遅くなる。土の為、バウンドした時にボールのスピードが吸収され、簡単に相手からエースを奪うことができない。その一方、思いっきりコートを滑るスライディングを武器にできる。その距離は1~2m。いつもなら届かないボールもクレーコートでは返せるため、自然にラリーが長くなる。クレーコートでのテニスは“手ニス”ではなく、“足ニス”と例えられるように、体力的にタフな選手が勝つのが常識だ。

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photograph by Daisuke Nakashima

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