ウェアに着替え、お気に入りのシューズを履いて、
今日も当たり前のように駆け出す――でも、なぜ?
何がわたしたちを「走る」というシンプルな行動へと
駆り立てるのだろう? 走ることで何を得ているのだろう?
好評発売中のNumber Do Winter『私が今日も走る理由』より、
元プロボクサーで今は気仙沼市の病院で働く
異色の医師・川島実さんのインタビューを公開します。
今日も当たり前のように駆け出す――でも、なぜ?
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駆り立てるのだろう? 走ることで何を得ているのだろう?
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元プロボクサーで今は気仙沼市の病院で働く
異色の医師・川島実さんのインタビューを公開します。
昔から長い距離を走るのは得意でした。小学校4年生のときです。学校の授業で走るんですけど、担任の先生が、東海道五十三次の地図みたいなのを作ってくれたんです。こんだけ走ったら箱根まで行ける、みたいなの。それにはまって、1周200mのトラックを毎日40周走ってました。その頃の自分にとって、走るのが楽しかったかどうかはわからないけど、楽しくなっちゃったことは間違いないですね。
12月下旬、宮城県気仙沼市本吉町。
海からの風は強く、とても冷たい。太平洋のはるか沖合からやってきた波は、岸に近づくにつれ、まるで何かに驚いたかのように大きく盛り上がり、白い飛沫を風の中にまき散らしながら、激しく浜辺の岩を打つ。
そんな三陸の冬景色の中を、一人の男が走っている。紺色のヨットパーカー、黒いランニングタイツ、右手にはアイフォーンを握り、両足にはビブラムのベアフットシューズを履いている。
彼の名は、川島実という。39歳で、気仙沼市立本吉病院の院長だ。しかし、走っているときの彼は、どうみても医師には見えない。フードで頭部を覆い、茶色いレンズのサングラスをかけ、顎の線は逞しく、肩幅は広い。肉の落ちた頬、強い視線は強い意思を感じさせる。強いて言うなら、走っているときの彼は医師よりもボクサーに見える。あるいは、ロック歌手のようにも。
「若い研修医が来てるときは強制参加」のランニング。
毎朝6時、川島は病院からその日のランをスタートする。一人のときは7.5kmのコースを30分から35分で走る。
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photograph by Atsushi Kondo