多角的にサッカーについて学んできた宮本恒靖。新たな視点を得た彼の目に
コンフェデの結果や日本サッカーの行く末はどう映っているのか――。
7月、FIFAマスターの卒業式の数日前。
スイス・ジュネーブから1時間半、ニューシャテル湖を望むニューシャテル大学の構内で宮本恒靖を待っていた。
「久しぶりやねっ」
時間通り、笑顔で、黒のリュックを背負って現れた宮本とは、昨年10月にイングランド・レスターで会って以来だった。あの頃はピカピカの新入生で学生生活にも授業にもまだ慣れておらず、表情にも余裕がないように見えた。だが今はすっかり落ち着き、元選手で現役の学生というより、まるで文化人のような雰囲気を漂わせていた。
「近くにチーズバーガーの美味しい店があるんで、そこ行きます?」
そう言うと、真夏の日差しが照りつける中、ゆっくりと歩き出した。
宮本は昨年9月、FIFAが運営するスポーツ学に関する大学院の修士課程、FIFAマスターに入学した。第1期はレスターでスポーツの歴史などについて学び、第2期はイタリア・ミラノでマーケティングや財政学、組織論を学んだ。そして第3期のニューシャテルでは、法律の基礎知識や選手契約などに加え、八百長試合を防ぐ組織をどう作るかなど、法律的な視点で判断する研究などに取り組んだ。そしてこの7月、卒業を迎える。
「インテルのマーケティングが非常に緻密なのは驚いた」
「授業で面白かったのは、マーケティングやね。ACミラン、ユベントスなどを回ってクラブ経営の話を聞いたけど、インテルのマーケティングが非常に緻密なのは驚いた。日本のマーケティングを見せてもらったら、何歳から何歳の人が何を買い、いくら消費し、どのくらいインテルのサイトにアクセスしているかなど、非常に細かく分析している。ファイナンシャルフェアプレーが導入されて、アジアの一国からでもより多くのお金を生もうとしているし、余計な出費はカットする。かなりシビアにやっているなって思った。
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています