こだわりの始動だった。2月14日。今季からダイヤモンドバックスに移籍した斎藤隆が、アリゾナ州スコッツデールのキャンプ施設に初めて足を踏み入れた。ちょうどこの日が42歳の誕生日。日米通算21年目の大ベテランは、1球ずつ年月の重みをかみしめるかのように、ブルペンで21球を投げ込んだ。
「改めて21年と言われると長いことに気付きますし、自分でも驚きます。ただ、まだまだ学ぶことがいっぱいありますし、今年も例外なく、可能な限りいろんなことに挑戦していきたいです」
2006年、横浜を退団し、ドジャースとマイナー契約を結んだ。当時は、「野球人生のオマケのようなもの」と話すなど、自ら終着駅を探しにきたことを隠そうとしなかった。もっとも、アメリカでの斎藤は、着実に、力強く、階段を上った。ドジャースではクローザーを務め、その後、レッドソックス、ブレーブス、ブルワーズと所属先を変えながらも、貴重な救援投手として安定した成績を残す。一方で、幾度となく故障にも見舞われ、そのたびに「引退」の2文字が頭をよぎった。毎試合後、専属トレーナーによるマッサージは欠かせなくなった。
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photograph by Yukihito Taguchi