#799
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<ソチ五輪でのメダル奪回戦略> 高梨沙羅/伊藤有希 「二人の“女子力”に賭けたスキー連盟の悲願」

2012/03/14
1998年の長野以来、五輪でのメダル獲得数ゼロのスキージャンプ。
そんな現状を改善すべく、スキー連盟が史上初の手段を行使した。
15歳と17歳の女子力に託した“秘策”の全容を明らかにする。

 その勢いはとどまることを知らない。

 今シーズン、中学3年生の高梨沙羅は、ノルディックスキー・ジャンプ女子の日本代表として数々の国際大会を転戦し、結果を残してきた。ワールドカップでは、出場した5大会中3つの大会で2位と表彰台に上った。1月中旬には、第1回ユースオリンピックで金メダル。そして2月23日には世界ジュニア選手権で金メダルを獲得したのだ。

 大活躍を続ける高梨のほかにも、ジャンプの女子には期待を集める若い選手がいる。

 高校2年生の伊藤有希である。

 伊藤は2007年、小学6年生のときに出場した国際大会で3位となって注目を集めた選手だ。'09、'11年の世界選手権にも出場し、昨年の世界ジュニア選手権では銅メダルを獲得している。今シーズンのはじめこそ、ワールドカップ遠征メンバーから外れる時期もあった。だが、

「ワールドカップ開幕戦を目指していたので、悔しかったです」

 と奮起し、1月には国内の5大会で連続優勝してメンバーに復帰。将来を嘱望される選手の一人であることにはかわりない。2人は、2月25日、世界ジュニア選手権の団体戦に出場し、金メダルを獲得している。

 高梨と伊藤は、成績とは別の側面でも注目を集める存在だ。全日本スキー連盟による「特化選手」という強化選手であることだ。指定を受けているのはすべてのスキー競技の選手の中で、この2人のみである。

 特化選手とは何か。それを定めた意図はどこにあるのか。そこには、日本スキー界の苦境と、連盟の決断がある。

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photograph by Shino Seki

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